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 障子の張り替えをしていた母親とカミサンがしきりに感心していた。家に残されていた障子紙に買った日付が入っていたのである。それは先々代さんのいつもの癖のようで鍬やスコップ、長靴などあらゆる農具にも書き込まれている。値段も書かれていたりするんだが、この障子紙には「1段分だけ使った」とわざわざ書いてある。ギリギリで足りなくて1本余分に使ったのが悔しかったのだろうか、まだいっぱい残っていることを明らかにしたかったのか、そのあたりはよくわからないが、とにかくきちんとした人だったということに改めて感心していたようだ。
 ほとんどあとを継ぐように入り込んで田んぼや農業をやっているが、先々代さんに比べると私はかなりいい加減である。だが、いつも先々代さんのことは頭の中にあって、道具をきれいにして片付けたり、捨てずに再利用したり、典型的な資源消費型人間はかなり変化しているのは事実である。