今の農場に進出する前、横浜宅の屋上で田んぼにしていた左官屋用の舟は、いろいろと使える道具である。3個あるうちの2個は田んぼの配水系統に組み込んであるが、残りの1つは長靴洗い用、屋外水栓のそばに置いてある。昨日その中を何気なくみていたら、ぱっと走るように泳ぐものが2つ。うち一つはオタマジャクシだったが、もう一つは子供のクロメダカであった。オタマジャクシは田んぼから汲んできた水にでも入っていたんだろうが、不思議なのは仔メダカである。考えられることといえば、メダカの瓶で増えすぎた浮き草をこっちに移住させていたから、それに卵がついていたとしか考えられない。小さいとはいっても一人前のメダカだから、網で掬って瓶に移した。
 それとともに、瓶の中からワラ束(仔メダカの隠れ家のつもり)や藻を取り出し、代わりに田んぼに生え始めている松のような藻をとってきて入れておいた。こんなことをやっている間に浮上してきたメダカのおなかには卵が数粒くっついていたし、瓶の中ではどうやら繁殖活動が始まっているに違いない。
 
 さて取り出した藻などだが、これは足洗いの舟ではなくちょっと工夫してみることにした。以前光合成菌を増やしてみようと購入したプラボックスを二つ並べておいてあったのだが、どちらも緑の藻が発生している。この前これの一方にちょっとした仕掛けをしてみたんだが、その結果そちらの箱は色がちょっと薄くなってしまった。
 
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 その仕掛けとは、右側の箱に田んぼから取ってきたミジンコを入れてみたのである。これが圧倒的な量の植物性プランクトンをえさにして大増殖して、ついには緑色を薄くしてしまったのだろう。よくみると無数のミジンコが泳ぎ回っている。これこそ生まれたばかりの仔メダカには絶好の環境に違いない。当分メダカ周りから目を離せない。私がこんなことをやっていると、カミサンは「あ、遊んでいる」と思うらしい。こちらは極めて高尚な生き物田んぼの原理を極めようとしているのに、そのあたりは理解の限界を超えてしまうようである。