雨の足音が聞こえるようになると、田んぼを養う身としては、カエルではないがなんだかありがたい気持ちになる。ということで、以前もいろいろ考えていた予測の続きを考えてみたい。

 以前、「沢水水量モデルの推定結果」に書いたことがある。モデルの概要は次の通り。
    予測値(立米/時)=Σ(R×0.08×0.87のd-1乗)+0.20
           R:ある日の雨量
           d:予測日からある日までの日数
  モデルの前提:ある日の雨量は基本的に実現率を乗じた形で流出する=0.08
        :流出量は低減率の割合で日々減っていく=0.87
        :どういう状況でも一定の量はある=定数
 その後の実績値と予測値を比較してみるとやはり完璧ではないことがわかった。特に、もっと長期的な傾向を要素として織り込まないと誤差が生ずるようである。ずっと雨が降っていないときと雨が続いた後では当然沢水量は異なる。今年の1月は月間雨量がわずか28.5㎜と少なかったが、こういう状況では雨が降っても沢水の量の増加は短期間で終了する。
 今回、モデルの見直しを行ったが、大きな変更はこれまでの累積低減流出量と累計雨量からの比較的定常的水量という2要素の計としたことだ。このことで、元者出るの定数はなくし、実現率の値(0.08)を見直して0.15とした。いわゆる流出係数が山地では0.2であることを考えて増やしたもの。もともとの0.08は実績値からの推定で出したもの。30日累計雨量と水量の関係は(一応)統計的に推定し、0.0004という定数を設定した。
 
   新予測値(立米/時)=0.5×Σ(R×0.15×0.85のd-1乗)+0.0004×30日累計雨量
           R:ある日の雨量
           d:予測日からある日までの日数
  モデルの前提:ある日の雨量は基本的に実現率を乗じた形で流出する=0.15
        :流出量は低減率の割合で日々減っていく=0.85
        :定常的な水量はあるが、その量は長期間の降水量に比例する
 
 なお、2010年4月17日に取水装置を交換しているが、これ以前の実績値は配管の泥詰まりなどの混乱要因が多く、本来取水可能な水量をすべて取れていたわけではない。このため、今回の新モデルの検証に際しては4/17以降の数値を参照した。今年1年の経過を見てパラメータについては見直しを行う予定である。
 
f3fdfc60.jpg

 緑の線の右側、取水装置を交換したあとはかなりいいところを推定している。
(まあ、この期間で最適パラメータを決めたんだが)
左側では実績がかなり下回っているところは、配管の状態が悪かったと思われる。
雨量は日間集計で実測はピンポイントのため、ある程度の誤差は避けられない。