0c0c4b04.jpg


 まだ2回目だが、今年もイネは育ってくれた。それまでは未経験で知識ゼロ、2008年末に今の農場を手に入れてからの俄勉強だったから、いろいろな知識は入っているが本質はつかめているわけでもない。だから、イネには苦労をかけている。去年は、草原から田んぼを作り出した直後であったため、全く無肥料で始めた。おまけに乳苗の1本植えがいいなどと考えて、でもそんな苗を植えられるほど平らな田んぼでもないから、むちゃくちゃな状態のか細いイネを尺角植えにしたが、それでもイネは頑張って米を作ってくれた。でも3俵/反程度。今年に備えて去年の秋には、イナワラと米ぬか、鶏糞堆肥を撒いてみた。今年は単收では5割り増しの5俵/反だったが、少しずつ進歩していけばいいと考えている。3俵から5俵/反というと、明治の初め頃の水準から昭和初期まで進歩したという感じだ。来年の目標は終戦後の水準、6~7俵/反にしておこう。
 
 米の収穫以外の収穫は、農薬とか化成肥料なしでもちゃんと米が育つということだ。イネ泥負い虫という害虫を見つけたときには心配もあったが、2~3回の週末に手で虫を捕った程度でそれ以上の蔓延はなく被害はなかったし、他の病害虫害は出なくて済んだ。田植機を使っているから限界はあるが、植え付け密度はできる限り低くしているし、肥料が少ないと言うことは病害虫対策には効果があると思っている。ただ、2号と3号に1箇所ずつあった「ボカシ」作りの場所に植えたイネは、分けつの具合も穂の長さもすばらしかったし、特に病虫害や倒伏も縁がなかったから、有機肥料ならまだだいぶ余裕があるんじゃないかと考えている。今年は冬前からぬかなどももっと撒いてみようと考えている。
 
 水については比較的楽な一年だった。約1ヶ月間雨が降らないという状況が7月からあったけれど、多少川水を揚げた程度で乗り切った。多いとき4立米/時、少ないときはその10分の1以下と変動は大きいが、結構それで間に合うのではないかと思われた。いろいろ考えてみると、米にとって水の役割はとても大きいと思う。山から自然に流れてくる沢水は私の米にとってもっとも重要な要素のはずだ。

c2ee2427.jpg

 
 生物多様性という言葉は世の中で頻繁に登場するようになっている。そうではなくなってきていることの証だろう。でも、私の田んぼでは多様になりつつある。メダカやドジョウは人為的に放したけれど、ゲンゴロウやミズカマキリなどの虫、それらを餌にする鳥など、それから田んぼを繁殖の場にするカエルなど、多くの生き物が集まるようになっている。あまり歓迎しないケモノたちも集まってきているけれど。そういえば蛇も常連だ。歓迎の程度に差はあるけれど、このようにいろいろな生き物が集まってくる田んぼはすばらしいと自賛したい。生き物をはぐくむ田んぼでうちのイネは育てたい。
 
 来年に向けて一つ考えておかなければならぬことがある。それは獸害だ。去年は苗や田植え後の若いイネをシカに食われたが、大きな被害には至らなかった。今年は、被害は1割程度にとどまったが、イノシシにやられた。成獣や複数のイノシシであれば、被害はこの程度では済まなかったと思う。生物多様性は尊重するが、人間が耕作した作物を食べられてしまうのは全く別である。周辺のケモノたちの中でも、当家は草原ではなく耕作地だと認識され始めたと思うので、こちらも注意を怠らないようにしたい。

383877eb.jpg


                             photo:いずれも Taku Hirase

収量統計は こちら