山のヒノキ林で丸太用材を物色していたら、下の道を歩く足音が聞こえた。このあたりを歩く人はほとんどいないからヒョイと覗くと、畑の地主さんが見上げていた。話を始めると崖を上ってきてポケットから出してきた鋸で杉の苗を切り始めた、大きくなる樹は早く伐った方がいいと言いながら。本当にそうである。樹にしても枝にしても、見逃しているといつか大きくなって始末に困るものらしい。
 ところで、なんで鋸を持ち歩いているのかと聞いたら、ちょっと山を歩いてきたからね、山には時々いいものがあるんだよ、という返事。どういういいものがあるのか教えてはくれなかったが企業秘密だろうか。確かに山を歩くのは楽しいと思うようになってきたこの頃である。だが、当分の間農場の中の山で精一杯だ。