以前の連載記事で欠号があったため、再掲 経緯等は末尾を御覧ください。

 この生活を始めてから、色々なものを自分達で作ることが身につきました。コメや野菜などの作物は当たり前なのですが、それらをさらに加工するということにも挑戦しています。なかでも作ってよかったと思うものはなんといっても味噌です。2011年だったか、知り合いから君津市で古くから栽培されている在来種の大豆を貰ったのがきっかけです。それを育てて収穫してから味噌造りに挑戦しました。最近ではインターネットで何でも検索できるし、糀屋さんも近くにあったし、特に問題もなく味噌ができましたが、特筆すべきはそのおいしさでした。信州の味噌屋さんから買ったこともあったけれど、自分で作った味噌は買ったものとはまったく別ものです。その在来種の大豆は、エダマメとして食べても味噌作りの準備で煮豆にしたものを食べても甘くておいしかったので、豆自体の美味さもあると思います。
 次の年から大豆の作付けを増やして直売所で「味噌を作りませんか!」ということで販売してみました。もちろん作り方や麹を手配するサービスも用意しました。結構反響があり、ご近所では味噌づくりがちょっとした流行になりました。2年目となる今年初めも注文をとりましたが、大体の方が前の年より作る量を増やしていました。
 単にできたものを売るだけではなく、こういう自分で何かを作ってみるというきっかけを提供するということも、とても意味のあることだと思います。同じようなものとしては梅の実があります。田舎の家には梅の樹は当たり前のようにあり、毎年採らせてくれるお宅もあるので、直売所では「梅酒や梅ジュース、梅干しを作りませんか」ということで毎年提供しています。これも味噌造りと同様に好評です。
 うちもずっと都会暮らしをしていましたが、材料を買った上に作り方を調べてというのは結構敷居が高いものです。田舎にいると、こういったものは作るのが当たり前という感じで、教わることも容易です。実は梅干しも味噌作りも近所や知り合いの「おばあちゃんの知恵」を借りています。長年の経験は貴重なものでインターネットでは得られないノウハウも教えてもらいました。都会と田舎を行ったり来たりする生活の中で、こうしたモノづくりの習慣や知恵もさらに広げていこうと思っています。