定年後・田舎作って・コメ野菜

定年に到達した2008年末、房総半島大多喜町に山と耕作可能地が揃った素材を購入し、2009年初めから畑と田んぼを作り、半田舎暮らしとほとんど経験がなかった農業を始めた。2010年には農業従事者として認められ、農地も自己所有となる。更にご近所の畑を借り、規模を拡大して農家の仕事にあたっている。コメも野菜もやっており、週末農業の限界も感じていたが、2011年末に40年続けたサラリーマンを辞め、専業農家に脱皮した。穫れた作物は横浜の家の玄関先で販売、配達もやっていたが、古希を迎えたこともあり、2019年春に毎週の直売をやめた。不定期の直売と宅配便利用のコメやイモ類の販売に移行している。

2009年10月

横浜直売所 10/13(火)

今週はお知らせを書きそびれてしまいました、済みませんでした。

来週は月曜日までの3連休であり、3回目の稲刈り(これで大半を刈ります)を
行う予定でもありますので、直売所開催は13(火)となります。
夏野菜類が完全に終息しましたので、品物数は少なくなり、
先週収穫したサツマイモや、かなり育っているはずの葉菜、根菜類の間引き菜などが
メインになるはずです。

お米については、今までに刈り取った分はほぼなくなっており、
今回のものが精米まで進んでから若干量のご提供となる予定です。
天日干しの具合にもよりますが、早ければ10/19になります。
また、その頃には古代米(黒いモチ米)もご提供可能となりそうです。

来年の田んぼとイネづくり

 詳細についてはおいおいに煮詰めていくが、一段落しつつある今年のイネづくりの結果を見ながら来年のアウトラインを考え始めている。
 田んぼ周りについては、できるだけ水平にする必要から高低の測量は何度も行ったが、平面的な把握は不十分というか相当いい加減で、航空写真で見当をつけたり植えたイネの本数からの逆算で見当をつけたり、とにかく見当をつけるというレベルの数字しかないのが現状だ。「田んぼのレイアウト(来年の米作り課題3)」に書いたように、このシーズンオフには面積を増やそうと考えている。また、来年はモチ米もやってみようという欲張りな目標も付け加えるつもりだ。そんなことを整理すると次のようになる。
 
      現状正味面積   面積増見込み
 1号    300平米    400平米    コシヒカリ
 2号    220平米    250平米    モチ米
 3号    300平米    350平米    コシヒカリ(250)古代米(100)
 4号    630平米    750平米    コシヒカリ
 合計  1,450平米  1,750平米
 
 レバタラも含む数字だが、この通りになればコシヒカリは1,400平米(560Kg)、モチ米が250平米(60Kg)、古代米が100平米(25Kg)となる。( )内は収穫量見込み
 今年の反省事項、肥料不足と堅い土、ひ弱な苗といった問題の解決は必要条件であり、モミガラを大量に散布し鶏糞堆肥も入れるといった工夫が前提となる。4号については冬季湛水の効果が気になるところ。

 3回目のイネ刈りで、コシヒカリが3俵以上獲れるんじゃないかと期待しているが、やはり量の問題で、なかなかこのBLOGを通じてある程度広く米を提供することには踏み切れない。あまり肥料などをつぎ込むとせっかくの米の美味さが落ちることも懸念される。そういう意味でそれほど高い数字にはしていないので、このくらいは確保して皆さんにも食べていただきたいと思う。

農作物の収穫量基準について

栽培する可能性のある作物について、千葉県の主要農作物収穫量(千葉農林水産統計年報からの引用資料によるもの)から、1アールあたりの農作物生産量目標を整理してみた。原数値(県内平均値)から実績や難易度を勘案して算出。現実の収穫量予測には、畝幅と畝間、株間を考慮した植え付け面積を出して、それにより推定することになる。

水稲       40Kg/1a  原数値 50Kg内外の8掛け
落花生     20Kg/1a  原数値 25Kg内外の8掛け
甘藷      160Kg/1a  原数値250Kg内外の約3分の2
馬鈴薯    150Kg/1a  原数値220Kg内外の約3分の2
小松菜    150Kg/1a  原数値200Kg内外の約4分の3
ツケナ類   140Kg/1a  原数値190Kg内外の約4分の3
ダイコン    350Kg/1a  原数値520Kg内外の約3分の2
カブ      300Kg/1a  原数値400Kg内外の約4分の3
ニンジン    180Kg/1a  原数値350Kg内外の約半分
ハクサイ    300Kg/1a  原数値420Kg内外の約4分の3
キャベツ    300Kg/1a  原数値420Kg内外の約4分の3
ホウレンソウ  120Kg/1a  原数値160Kg内外の約4分の3
ネギ      180Kg/1a  原数値270Kg内外の約3分の2
タマネギ    200Kg/1a  原数値300Kg内外の約3分の2
ナス      200Kg/1a  原数値320Kg/1aの約3分の2
キュウリ    400Kg/1a  原数値620Kg/1aの約3分の2
トマト     300Kg/1a  原数値580Kg/1aの約半分
カボチャ    100Kg/1a  原数値210Kg/1aの約半分
ピーマン    200Kg/1a  原数値200Kg/1aの約3分の2
スイカ     300Kg/1a  原数値450Kg/1aの約3分の2
サヤエンドウ  35Kg/1a  原数値 50Kg/1aの7掛け
サヤインゲン  80Kg/1a  原数値110Kg/1aの7掛け
サトイモ     80Kg/1a  原数値130Kg/1aの6掛け
レタス     130Kg/1a  原数値180Kg内外の約4分の3
ブロッコリー   60Kg/1a  原数値 90Kg内外の約3分の2
セルリー    350Kg/1a  原数値500Kg/1aの7掛け
ソラマメ     40Kg/1a  原数値 70Kg/1aの6掛け
シュンギク   180Kg/1a  原数値240Kg内外の約4分の3
タケノコ     50Kg/1a  原数値 80Kg内外の約3分の2
根ショウガ   70Kg/1a  原数値110Kg内外の約3分の2

今年の結果(見込みを含む)と比べると、水稲については15アールで360キロ程度とみており、ここでの目標値の6割程度ということになる。ジャガイモは130㎡で160キロ程度を収穫したから、この目標に比べて77%程度に留まってしまった。落花生は壊滅的な打撃を受けたが、栽培面積は3.2アールだったから64キロの収穫が目標だったことになる。という感じで眺めると、なかなか現実的な目標のように思える。農家資格取得は中期的目標として考えており、そのための営農計画をまとめる必要がある。作付け計画と合わせてこれを参考にしていく。

なお、これ以外の採集物については、シイタケ、ワラビ、ミョウガ、フキノトウ、フキなどがあり、これらについても見当をつけていく必要がある。

配水計画(田んぼ周り)(来年の米作り課題5-3)

 沢水、川水とも温度が17度前後と低いことから、田んぼへの水の入れ方には工夫が要る。今年も、沢水が直接入った1号と2号の東側部分では、「南北問題」とは別の生育不良が観測された。今年は、2号から4号までは水が通過する一筆書き方式、1号については片側から不足分を足す方式で行った。水温確保の観点からは継ぎ足す方法の方がよいような気がするが、1号田んぼでは水口から一番奥のあたりははっきりした生育不良で、これは水のせいか、田んぼのせいか、養分のせいかがまだわからない。このあたりをよく分析することと、田んぼのレイアウト変更と並行して考えていくことにする。
 

配水計画(川水)(来年の米作り課題5-2)

 これは最も苦労したところだ。今後の計画がテーマだから詳細は割愛するが、ポンプ本体や配管経路は色々変更しており、現在は1.5KWの水中ポンプから3号田んぼの位置に揚げており、大体5立米/毎時程度だから3号と4号の田んぼには十分な水量。本当は上の田んぼに出したかったが、安い水中ポンプを衝動買いしてつけてみたら能力不足という状況でこうなっている。まあ、沢水を整備すれば上2枚の田んぼは十分賄え、水が少ない時期でなければ3号以降にも降りていくので、ポンプの稼働時間はそれほど多くない。今年の例でいえば、農事用電力(3相交流)の電気代はほとんどが基本料金、従量の料金はきわめて少なかった。基本的に沢水で賄う計画であり、このままでいく方針だ。ただ、川からの配管はライト菅であり、ここがアキレス腱。破裂などによる配管のやり直しが必要になるかもしれない。

配水計画(沢水)(来年の米作り課題5-1)

 今シーズンは、田んぼの水の9割は沢水で賄えた。比較的雨が多かったことは幸いしていると思うが、沢水の取水や配管経路についてのトラブルが多く、このあたりをちゃんとさせることで、多少沢水が減少したとしてもかなりの部分を賄うことは可能と思われる。まず、沢水関係の現況を確認しながら実施事項を整理してみよう。
 沢水の経路を整理すると次のようになる。
    a.取水堰                   作り直し
    ↓
    b.取水口                   延長・位置変更
    ↓
    c.配管(敷地外前半、塩ビ管VU40、露出)  周辺整備、レベル調整
    ↓
    d.配管(敷地外前半、塩ビ管VU40、埋設)  位置経路確認
    ↓
    e.敷地内(黒ポリ管、埋設)          位置確認、継手変更
    ↓
    f.敷地内(塩ビ管部、露出)          溜め池設置
    
 このうち最もトラブルが多かったのは「b.取水口」である。大体2~3週間に一度は泥を浚う必要があった。水は山の懐から流れ出ているが、同時に泥も流れてきてすぐに取水堰の底に溜まり、そこにある取水口を塞いでしまう。そうなると取水堰の水位も上がり、色々なところから漏水が始まる。
 対策としては、取水堰を作り直し、ブルーシートなどを利用して漏れないようにした上で、取水口の位置をあげて底に溜まる泥が入らないようにするということになるだろう。ただ、これまでの泥の量から考えて、定期的に泥サライをすることは依然として必要だろう。
 次にトラブルが多かった箇所がe.敷地内(黒ポリ管、埋設)である。そもそもd.以降は埋設されていてどうなっているかわからない。途中のどこかで配管の材質が変わっており、内径が狭くなっている。その部分で詰まることが数回あった。敷地内で黒ポリ管の露出した部分からVU菅に換えているが、それを外して針金でつつくことが何度もあった。その端部から大体10mのあたりで針金は止まることから、塩ビ管のエルボーがあると思われ、その手前に塩ビ管と黒ポリ管の接合部があるはずだ。冬になったらこのあたりの配管を全部掘り返して、黒ポリ管をVU管に変更することを考えている。
 水奉行からは、現在1号田んぼの手前に設置している溜め池を、一段上にある「上の畑」のどこかに移し、容量も拡大して水温上昇を図ったらどうか、との提案があるので、配管材の変更に加えて経路の見直しも検討する予定。

畦の整理(来年の米作り課題4)

 畦は、幅や高さが揃っていない上に草も生えていて、何とかしなければならない箇所である。人には見せられないし、我々も足を踏む度にレベルが違ったりしていて、その上を歩くのは苦痛だし、ねんざの危険があるといっても大げさではない。一応、2号と3号とも畑としては利用するが、両端は運搬車が通れるほどのスペースは空けたので、手作業にはなるが畦の整形はやらなければならない仕事だ。
 また、2回崩壊した3号の畦も大手術が必要になる。その近辺を一旦崩して土嚢をどけた上で、新たに土を運び込んで固める予定。

田んぼのレイアウト(来年の米作り課題3)

 先日、近所の田んぼ農家の方が視察にこられた。色々有益な指摘をしてくれたが、やっぱり無駄なスペースが多いことは指摘された、「草刈りが大変じゃないですか」という言い方だったが。確かに、最初に考えた車両用の通路などは結局不要であったり、それほど幅が必要でなかったりで、周囲の未利用空地部分に田んぼを広げることは可能だと思われる。
 田んぼエリアは簡単に測ったところ2反8畝あった。通路に加えて山とのあいだに害獣防止用のネットや空間が必要だったり、池やビオトープがいるから全てというわけにはいかないが、未利用空地への拡大や畦の整形により、現状の1反5畝から2反歩くらいまで田んぼの正味面積を拡張したいと考えている。

田んぼのレベルを水平に(来年の米作り課題2)

田んぼのレベルを水平に(来年の米作り課題2)
 4月はまるまる田んぼの水平出しにかかった。結局最後に田植えをした4号では20cm位のレベル差があり、田植機では植えられない部分が残ったし、1~3号もかなりの不陸があり、背の小さい苗は潜ってしまうため田植ではかなり苦労をした。
 1~3号はあまりチェックもせずに水を抜いてしまったが、この半年のイネ栽培の中でレベルの差はかなり少なくなったのではないかと思われる。2~3号は春まで畑となるが、1号と4号は湛水する予定なので冬の間チェックと是正をしてみたい。

田んぼの土と肥料(来年の米作り課題1)

 肥料は必要とは思ったが、なにしろ田んぼもイネも初めてで、明快な考えはなかった。それと、入植前はずっと草原で耕作されていなかったことも心配なところで、意外に養分があるんじゃないかという気もして、結局元肥なしでやることにした。稲があまり元気ではなくスカスカに植わっていた理由の第1はこれによる養分の不足にある。また、化学肥料はやめようと決めていたから有機肥料になるわけだが、これも即効的ではないということでタイミングがわからずやっていない。唯一肥料に近いものとしては田植え直後に草防止のために撒いた米ぬかぐらいである。また、土自体に硬い部分があり、十分に根が張れなかったイネもあった。これについては「田んぼの南北問題」というテーマで何度か書いてある。1回目、2回目の稲刈りの結果、どちらも約3畝分の田んぼから100キロの籾が獲れていた。玄米にすると70キロ程度、反あたりでいうと3.5俵前後となるから、標準的な農家の4割弱くらいが今年の実力である。残る4号は6畝強あり、ここは稲の状態や密度も良いので、玄米で200キロくらいは獲れると思う。この計算だと反あたり6俵となるが、そのぐらいいくといいんだが。結局、トータルで玄米6俵程度が今年度の収穫だろう。
 そんな計算はともかく、土の状態はあまり健康には見えない。粘土質そのものの固まりで、空隙もない。さらにちょっとドブ臭い感じだ。畑にして裏作を作ろうという2号3号は耕耘や畝立てを始めているが、そんな土だからどんなもんだろうとちょっと心配がある。1号と4号は冬期間湛水にしようとしている。どちらかは緑肥(レンゲか)を試してもいいと思い始めたが、農文協の「現代農業」のモミガラ特集にすぐに反応して、モミガラ作戦を検討し始めた。鶏糞を混ぜ込めば分解も進むのではないだろうか。畑に一時転用する2号3号では畝間に入れればいい。できれば燻炭にすることにも挑戦したい。今月下旬には米の関係が終了する予定なので、そのあとモミガラ入れに取りかかろう。
 来年度の米の肥料については、モミガラと鶏糞を撒くことで何とかなるだろうと考えている。 

農家の工夫と「現代農業」

 私自身、今年に入ってからの農業生活の中では、工夫・考案・工面の連続だったように思う。大体、農業というものにお金の定規を持ち込むと、完全に潜ったまま浮上しないという悲惨な現実にぶつかるものだから、費用対効果という考え方もなかなか成り立たない、というか導入しづらい。少々のプラスがあっても焼け石に水というところなのである。だからあるものを使う、使えなければ工夫する、使えてももっと工夫を加えて効果を出す、こういったサイクルをいつもまわすことになる。これは農業に携わっている皆さんにかなり共通のパターンのようで、それが一杯に詰まった雑誌「現代農業」については前に触れたことがある。
 本格的に農業をやろうと考えた今年の初めにこの雑誌を買い始め、その時点で多少バックナンバーを追加購入したからまだ1年程度のおつきあいだが、その全国の農家がやっている工夫を特集という形で束ねて紹介するという内容とそのパワーにはいつも圧倒される。最近の世の中の雑誌はおしなべて元気がないように感じることがあるが、この雑誌だけは例外だと思う。今月は「モミガラ活用」の特集である。
 この「モミガラ活用」というテーマ、稲刈りとそれに続く作業をちょうど始めており、べったりと固まった粘土質の田んぼと畑を持って途方に暮れている私にとってはまさにタイムリーなもので、てんこ盛りの内容に喜んでいるところだ。モミガラについては、仕事場の先輩が「お前のところのモミガラを着払いでいいから送ってくれ」などと無理な注文が飛び込んだり、出入りの農機具屋さんから「モミガラをいくらでももらえるところを紹介しますよ」などという有益情報が入ったり、頭の中ではモミガラだらけの状態になっていたところだった。さっそく、カローラフィールダーという農民車を駆使して大多喜町某所からモミガラを何往復も運び込み、燻炭にして田畑にばらまき、先輩の100㎡強の畑用に何箱もそれを送り届けようという計画が頭の中にできあがりつつある。(おい待てよ、まだ稲刈りも残っているぞ。)このことについては、きっとあとで触れることになる。
 
 一体何でこの雑誌、元気があるんだろうと考えてきた。まあ、発行元の農文協自体も不思議な会社で、農業関係の書籍の多様性や充実度合いにはいつも感心するところだが、この雑誌の編集者たちの情報収集力やセンスの問題も大きいのだろう。タイムリーなテーマを取り上げるところもいいと思う。しかし、もっと基本的な原因もあるんじゃないかと感じている。この1年、色々考えるプロセスの中で当然インターネットは活用してきた。もちろんどんな問題にも糸口や参考となるようなものは出てくるけれども、実は「現代農業」に掲載されるような現実的・実際的な知恵や工夫のレベルに至っているものはあまり多くないように感じる。出てくるものといえば、アカデミックな世界からのものとか、私のようにあとから飛び込んだ人たちが発信するものが多い。元々農業を営む方々にとって「インターネット」はまだまだ身近なものではない上に、毎日の農作業の中でそれを使って情報を発信したり、逆に情報を探し出すという習慣は定着しづらいということがあるんだろう。私ですら農場に行っている週末にはPCに触れる時間も普段の数分の一になってしまう。
 雑誌という情報媒体は、インターネットという怪物のようなメディアの氾濫の中で、なかなか存在価値を発揮しづらくなってきているんじゃないかと思う。私自身を振り返ってみると、雑誌を買って読むということの比重が明らかに低下してきた。知りたいことがあれば、Googleを頼りにインターネットに飛び込んで調べてハイ終わり、というパターンが標準的になった。そんななかで「現代農業」だけは、インターネットでは出てこないような、言い換えるとまだインターネットが掘り起こせない農業人たちの知恵を集めるということで元気を保っているのだろう。私がこの雑誌に触れ始めて一年だから何でも新しいが、テーマは反復して出てくるようだし、再登場する人も多そうだ。何年も続けて読んだときにも新鮮だと感じるような内容の密度と鮮度を保って欲しいと思う。

 なお、冒頭の「工夫・考案・工面の連続」についてだが、残念ながらプラスばかりではない。出費を惜しんだために結局高くつくという結果も多く、このあたりは本当に難しい課題であることを付け加えておこう。

黒米の混入

 今年の当農場では1反5畝の田んぼの9割(面積)でうるち米(コシヒカリ)、約1割を古代米(黒い糯米)の栽培にあてた。シルバーウイークの後半には1回目に刈り取ったコシヒカリの脱穀から精米、古代米の刈り取りを行った。その古代米を1週間前にハーベスターにかけ、続いて今週末に2回目のコシヒカリをハーベスターにかけて脱穀したのだが、これを籾すり機にかけると黒いものがみえた。どうやらハーベスターの中に黒米が残っていて、微量ではあるがそれが混入してしまったらしい。

 最終工程の精米機にかけると黒米は白くなるものがほとんどであまり目立たなくなるし、食味としては糯米が混じることになりマイナスにはならないと思われるが、だからいいというわけではない。今年は黒米の脱穀は終了したから再発はないが、来年度は古代米の他に糯米の栽培も検討しており、きちんと管理する必要がある。
 米関係の機械は、風圧で移動や排出をさせることが多いせいか、終了後の完全な排出はなかなか難しいものが多いが、圧搾空気を使うなどによりそれを完全にするほか、使い始めの少量を分けるなどが対策として考えられるが、乾燥機などはなかなか難しそうだ。だが、完璧を期するようにしたい。

冬野菜の準備状況

 米のみでなく冬野菜の準備も秋雨前線の影響を受けている。3号に続いて畑として利用するための耕耘畝立てを行う予定だった2号田んぼの作業も遅れている。今度の週末も水がたまるような雨が続いていたからウルトラポチや耕耘機の出番はなかった。ただ、雨は作物にとってはありがたいようで、上の畑に播いた白菜やキャベツの苗が順調すぎるくらいに育っており、定植予定地である2号田んぼの遅れはとても困る状況になりつつある。今週もし雨が続くと次の3連休も耕耘畝立てが難しくなる。もし強行しても稲刈りと移植作業とやることが重なることになり、かなりハードな週末になりそうだ。
 
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 土曜日にやった3号田んぼの種まきについては、次のようになっている。
   畝1(約50m) タアサイ
   畝2(約50m) タアサイ
   畝3(約50m) ビタミン菜
   畝4(約50m) しろ菜、春菊、野沢菜 (MIX)
   畝5(約50m) 空き(ほうれん草予定)
   畝6(約50m) 空き(ほうれん草予定)
   畝7(約50m) ほうれん草
   両側にもう一列ずつ耕作可能な空きがあるが、両側の畦の改修を行う可能性があり、作物の植え付けは行わない。今回は各畝の肩部分とともに白クローバーを播いた。
   
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 ついでに上の畑(落花生畑あと)の播種状況も整理しておく
   畝00(約12m) ビタミン大根
   畝01(*)    ジャガイモ(発芽率悪く、あとで大根を播いた)
   畝02(*)    ジャガイモ(発芽率悪く、あとで大根を播いた)
   畝03(*)    耐病総太大根
   畝04(*)    耐病総太大根
   畝05(*)    耐病総太大根
   畝06(*)    青首宮重大根
   畝07(*)    青首宮重大根/耐病総太大根
   畝08(*)    二十日大根/白姫(ハツカ大根)
   畝09(*)    紅カブ
   畝10(*)    聖護院カブ
   畝11(*)    菜花
   畝12(*)    オリ菜
   畝13(*)    小かぶ
   畝14(*)    飛騨紅カブ
   畝15(*)    飛騨紅カブ
   畝16(*)    小松菜
   畝17(*)    アブラナ
   畝18(*)    練馬たくあん
   畝19(*)    白菜(郷愁80日)
   畝20(*)    白菜(郷愁70日)
   畝21(*)    白菜(郷愁65日)
   畝22(*)    山東菜
   畝23(*)    白菜(郷愁65日)
   畝24(*)    キャベツ
   畝25(*)    キャベツ/ブロッコリー
   畝27(*)    ブロッコリー
   畝28(約 9m) ブロッコリー
       (*)畝の長さは西側の12mから東側の9mまで逓減
       
 そんなに大根植えてどうするの? という感じだが、冬期間タクアンの製造を予定している。また、そんなに白菜を植えてどうするの? という感じでもあるが、2号田んぼあとの畑に定植する予定の白菜も漬け物になる予定である。(いずれも畑奉行の仕事)
 

秋雨前線

 農業を始めてから天気予報には敏感になった。ウエザーニュースのピンポイント予報(大多喜町会所)は、どのPCのブックマークにも入れてあり、常に農場あたりの予報を見ることができるようにしている。また、最も近い場所の実況天気(大多喜町松尾では降水量のみ)も同様に重要な情報である。これは田んぼの水を供給してくれる沢水の状態推定にきわめて役立つものだ。
 その天気予報によると、今週は秋雨前線の影響でずっと雨模様らしい。今現在の最重要課題は4号田んぼの稲刈りだ。地域でただ1カ所、ポツンと残った稲をイノシシたちが狙っているのはわかっているが、先週末は雨で稲刈りを見送らざるを得なかった。次の3連休が次のチャンスではあるが、予報通り金曜まで雨が続いたら水はけの決して良くない4号田んぼ(他も良くないが)では、バインダーを入れることができない。
 これまでのところ、柵(高圧線込み)の効果だろうかもっとも警戒しているイノシシは現われてはいないが、どこまで護れるかは自信があるわけではない。冬が近づくにつれてイノシシの食欲や執念も増すだろうから、もう一週遅らせるか無理しても刈ってしまうか、いろいろ考えると難しい判断である。

今週末の作業

 金曜日の雨の隙間を縫って脱穀したことは既に書いた。夕方から乾燥機に入れて約24時間弱で籾を乾燥させたことも書いた。
 土曜日は結局夕方近くまで雨が降り続き、その合間を狙って3号田んぼの畑に種を播いた。仕事場の先輩からもらったターサイを畝2本(合計100m)、ビタミン菜1本、ほうれん草1本、しろ菜+春菊+野沢菜(mix)1本。ということで、7本の畝のうち5本に種を播いた。また、周囲と畝の方の部分には白クローバーを播いた。田んぼにするときの緑肥である。
 土曜日の夕方から、仕事場の仲間一家来訪。BBQ後に籾すりと精米をやったということは書いたかどうか忘れてしまった。日曜は、仲間一家に手伝ってもらい、サツマイモ3分の2と落花生の残りの半分を掘った。落花生の方はウサギに食われる前に掘ってしまおうというもの。サツマイモはイノシシが来る前に掘ってしまおうというもので、山間部の農家のつらさを味わっている。
 
 まだまだ書くことはあるんだが、体力の限界だ。

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会所10/04

 昨日から持ち越した籾の乾燥は7時に再開し、終わったのが3時ごろだった、昨日から通算で23時間と時間が掛かった。農機具屋さんの説明だと、量が少ないと時間が掛かるということだ。確かに、バーナーの火が入る時間は随分少ない。今年の最後はある程度の量はあると思うが、来年からは、刈り入れについてもある程度計画的にやり、一回あたりの量を増やすことも考えた方がいいだろう。

 今日は、夕方から仕事場の仲一家がきた。 せっかくだから乾燥した籾の後工程を一通りやってみた。夕食後だったから、精米にたどり着いたのは結構遅くなってから。しかしおおぜいでわいわいやるのもなかなか楽しい。

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 糠が当然出てくるが、無農薬のコメだから糠も無農薬で、糠味噌には絶好である。このままなめると不思議に甘い。

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思わぬ獲物

朝食べる野菜をとりにいった勘定奉行から、何とかしてくれという依頼があった。
落花生畑にいってみると、害獣防御用に架けたネットにガマガエルが絡んでいた。
相当苦労したようで、ネットが首の周りなど体中にからみついている。首が絞まって
死んでいるのかと思ったが、さわるとモゾモゾ。

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カエルだけでなくこちらでもどうにもならず、ハサミを持ってきて網を切った。

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体に絡んだ網を大体切って網ごと持ち上げたら、意外に元気よく動いてもがいている。
最後は「シェー」のように伸びながら隣のサトイモ畑の葉の中に入っていった。
青虫ぐらいは食って恩返ししてもらいたい。

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そういえば、ガマを見つける前には逃げていくウサギを見かけたらしいが、
落花生荒らしの犯人はウサギだったのかもしれない。

乾燥機の状況

籾の含水量はばらついているようで、動かし始めた16時ごろの数値は
29.7%であったり27.2%だったりという感じである。
途中から大体1時間おきに測るようにしてみたが、
  20時  21.8%
  21時  23.0%
  22時  21.1%
  23時  19.7%
ということで、ターゲットの16.5%までにはかなりの時間が必要そうなので、
20%を割ったということで一旦停止し、明日朝再開することにした。
やっぱり、つけたまま眠るわけにはいかない。6時前に起きたので、もう限界。

雨はかなりひどい。水を抜いた田んぼにも水が戻ってしまいそうである。

4号田んぼの稲刈りはピンチ

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 脱穀については滑り込みセーフという結果だったが、その後も雨は降り続いており4号田んぼには水が溜まり始めている。この状態で稲刈り機(バインダー)を入れるのは危険になってきた。一応雨のやみ間を利用して高圧ワイヤーの状態をチェックして特に問題はないようだったが、電圧はちょっと低め。やっぱり濡れた網などを通じて漏電している可能性が高い。
 ワナが弾けていたこともあり、イノシシがそこまで来ているんじゃないかと思われるが、4号の稲刈りは来週以降まで見送らざるを得ないかもしれない。場合によっては刈れるだけ手で刈るか。

乾燥機稼働中

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    かなり大きな機械である これでも小さい方

 修理のすんだ部品(バーナー)が到着して乾燥が始まった。含水率は29%程度とかなり高かったようだ。機械はかなりの大きさで、100キロ程度の米はどこに入ったかわからないほどである。少ないせいか、バーナーの火もたまにしか入らず、温度は29度程度とそれほど高くない。まあ、高くない方が食味への影響は少なくていい。1時間ほど経過した段階で23%程度まで乾燥は進んだが、割合時間は掛かるようだ。

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    ちょっと旧式のようだがコンピューター制御のようである

 最初は15%を目標として動かしていたが、すぐになくなるしもう少し水分があった方が新米らしいんじゃないかと思い直して16.5%に設定し直した。そこに到達すると自動停止するらしい。籾すりや精米は明日朝になりそうだ。

今朝は6時から起動

 朝起きると、空の一角の雲の切れ目から青空が見え、薄陽が時々射す状態。簡単に朝食をとり、さっそく運搬車とハーベスターを納屋から出して田んぼの一角に据えた。あとは干してある稲束を片っ端から脱穀していく。ネットフェンスに干しておいたものはほぼ乾燥状態。竹のおだに架けておいたものは、中心部がちょっと湿っている感じ。家の脇で風通しが悪いのだろう。
 ハーベスターについてはすっかり習熟(といっても難しいものではないが)、22m位の束を1時間半くらいで終わらせた。時間には稲束に残っている穂を探す時間も含んでいる。やっているうちに雲が厚くなり雨の気配もしてきたのでどんどんやって無事終了。
 籾袋4袋と3分の1程度、重量で100キロ強だった。米にすると60キロ程度だろうか。もう少しあるかと思ったが1回目とほぼ同じ。すでに色々ご希望も聞こえてきているので、じきになくなりそうである。
 
 重量を測って乾燥機に入れ終わると、待っていたかのように強い雨が降り始めた。本日休暇を取って昨日から乗り込んで朝一番から作業を始めたのは大正解だった。ただ、直ったはずの乾燥機のバーナーが点火していないようで、まだ乾燥は進んでいない。いつもの農機具屋さんに連絡して到着待ち中。

会所10/01

 明日は特に予定も入らなかったので、また休暇を取って今日から会所にきてしまった。平日の夜でアクアラインを含めて道路はがらがら、横浜の家から1時間と7分で到着した。今日は早く到着してハーベスターを持ち出し、干してある稲の脱穀をやろうと考えてきたのだが、勘定奉行はまた異常だといわれるから明日にしたらというし、しーんと静まりかえった会所に到着してみると、騒々しく脱穀など始めたらみんな集まってくるんじゃないか、と思わせるものもあり、あきらめた。イネはほぼ乾いているんだが。明日早く起きて、8時ごろと昼頃に降るという雨までの間に一気に脱穀するつもり。

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 見回ってみるとワナに異変があった。コイルスプリングのワナの方が弾けていた。柵の向こうなので明日のヒマがあるときに再セットするが、掛かっていなくて残念半分、ほっとしたところもなくはない。まあ、鹿かイノシシかはわからないが、抑止効果は期待できるだろう。
 落花生は、今日昼間視察にきた水奉行情報では大丈夫とのことだったが、先週末に土と網をかけた勘定奉行がみたところ、やっぱりやられていたとのこと。被害は3カ所のうち1カ所のみだが、株数は一番多いところである。明日でも早めに収穫しようかと話したところだ。
 
 夜、真っ暗な中でライトで照らすと、きらきらと反射する無数の小さな光が畑の中に見える。夜になったばかりの時間帯なら露の水玉も多いが、クモの眼が反射で光っているものが多い。ちょうど鹿やウサギの目がライトの光を反射するのと同じなのである。本当に今まで気がつかなかったものを発見する日々である。
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