定年後・田舎作って・コメ野菜

定年に到達した2008年末、房総半島大多喜町に山と耕作可能地が揃った素材を購入し、2009年初めから畑と田んぼを作り、半田舎暮らしとほとんど経験がなかった農業を始めた。2010年には農業従事者として認められ、農地も自己所有となる。更にご近所の畑を借り、規模を拡大して農家の仕事にあたっている。コメも野菜もやっており、週末農業の限界も感じていたが、2011年末に40年続けたサラリーマンを辞め、専業農家に脱皮した。穫れた作物は横浜の家の玄関先で販売、配達もやっていたが、古希を迎えたこともあり、2019年春に毎週の直売をやめた。不定期の直売と宅配便利用のコメやイモ類の販売に移行している。

米作り2011

1号田んぼのやり方を変更する

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      起こす前の写真

 1号田んぼは、4号と同様冬期間湛水をしてきており、いわゆる不耕起栽培でイネを育てる予定だった。しかし、どうにも水が少なくて2号まで十分な水が降りていかない。この調子だと、植えたあとも水では苦労する可能性が高いため、起こして代掻きをすることにより、水保ちをよくする方法を選択した。
 田んぼの中は、秋に撒いた堆肥やワラがいい具合になっており、藻というか苔のようなものも生えていたし、オタマジャクシもたくさんいたが、大きく環境を変えることになってしまった。まあ仕方がない。4号田んぼは予定通り不耕起でやるが、うまくいってうまい米が育って欲しいものだ。
 
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イネの種まき

 今日は仕事を休み苗箱にモミを播く日である。2週間浸けておいたモミはまだ膨らんではいなかったが、こちらの都合で播くことにした。
 
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 まず苗箱の底に新聞紙を敷く。
 
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 昨年末に購入したミクニ式種まき機を使う。苗箱の上に枠を置き、ローラーの付いた箱にモミを入れ、グルグルと押す。
 
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 湿った状態で70gはかなり少ない。マニュアルによると0.7合、これを機械で播く。最初は黒米(古代米)を3枚、底には育苗用マットを敷いた。
 
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 育苗用マットは19枚、買い足すのはやめてあとは燻炭を底土として使うことにした。燻炭の上にモミを播くと割合はっきり見えてばらつき具合がよくわかる。
 
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 結局、苗箱34枚+α播いた。
 
 01~03  黒米        マット
 04~10  ミルキークイーン  マット
 11~19  コシヒカリ     マット
 20     コシヒカリ     燻炭
 21~30  ミルキークイーン  燻炭
 31~34  コシヒカリ     燻炭
 予 備    黒米        燻炭
 予 備    コシヒカリ     燻炭
 予 備    コシヒカリ     燻炭
   予備は1箱200g程度播いておいた。

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 苗は、温度調節や水やりが必要なため、発芽してしばらくの間横浜の家で面倒をみることになる。あとは会所に運び、田んぼに苗代を作ってそこで水に浸けておく予定。

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田んぼの準備

 今日出かけたときに見たところでは、いろいろなところで田んぼに水が張られており、トラクターで代掻きをしている農家もかなり多かった。今日の陽気はセーターも要らない春で、田んぼをいじりたくなる気持ちもよくわかる。5月末から6月に田植えを予定している私も、なんとなく気がはやる。
 当家の場合は、浸種中の籾が来週末には頃合いになると思うので、横浜に連れて行って苗箱に播く。それから田んぼに作る苗代に移し、5週間程度で田植えというスケジュールとなる。
 
 田んぼについては、全般的に畦を作り直したあと、1号に苗代を作る。1号と4号については残っているわらをレーキでとり、改造管理機で部分的に代掻きをして1号と4号は終わり。2号と3号はトラクターを借りてきて起こして代掻きを行う。これはGW辺りを考えている。当家では4~5月が田んぼの作業のピークになる。
 

米ぬか払底中

 去年の暮れより、毎週通り道の木更津農協に電話を入れて米ぬかを入手しようとしているが、毎回予約が入っているのでありませんという返事。去年のBLOGを振り返ってみると、やはり今の時期は苦労していたようだ。春に向けた堆肥作りには早いと思うが、鳥や豚などの飼料にするのだろうか。kanetunaさんに紹介してもらった人(精米所をやっている)に電話を入れ、様子を聞いてみようと思っている。
 
 ところで、1年前の状況を振り返っていたら、1月の後半には田んぼにヤマアカガエルが卵を産んでいた。いつもお伝えしているように、田んぼの水は当たり前に凍るので、去年はすくって池に移すなんていう作業をやったんだが、今年もまた助けてやろうと思う。ヘビやトリたちも喜ぶかもしれないけれど。

水苗代の準備について

 苗箱の数はなかなか読みづらい。昨年は結局のところ、自家育成分10枚、貰った分10枚程度。機械植えをした1800平米弱で20枚というと、一般の基準よりはかなり少ないはずだが、間違いではない。今年は余裕をみて、コシヒカリとミルキークイーンは15枚ずつ、きっと手植えになる古代米が2枚というところだろう。

 去年もそうだったが、横浜である程度育てたら農場に運び、田んぼに水を張って苗代とする予定だ。1号に40平米程度のスペースをとり、そこに並べる。3月というとまだ寒いが、過保護にはしないでたくましく育てることが必要だ。田んぼが凍って苗が黄色くなっても大丈夫というんだが、きっと心配にはなるだろう。そんな時期は2ヶ月以内にやってきて、田植えもその後に控えている。次第に今年の米作りが近づいてくる。まだ3回目だが、やってみるとこれはやみつきになるもんだ。

田んぼの土手について

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    入居前、田んぼを造成する前の状態

 当農場の田んぼは、入植した2009年の冬から春までに傾斜地を階段状に造成したものである。2001年ごろまでは、前所有者のそのまた前の所有者が田んぼとして使用していたものだが、所有者変更後農業自体が行われず、単なる傾斜した草原に退化していたのである。

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    11日間、バックホーを借りて自分で工事を行った(2009/3)

 昔の航空写真を見たところでは、以前の田んぼは3段の棚田であった。終戦後に開拓民として入植した前の前の所有者が国有林跡を切り開いて作ったものである。私の場合は、3枚にするか4枚にするか迷ったのだが、田んぼ間のレベル差を少なくして崩壊のリスクなどを小さくしたいと考えたので、結局4枚の田んぼにしたのであった。

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    当初は黒線が田んぼ、2010年正月の改修で赤線部に拡大

 2009年3月に第1回目の造成を行ってイネを1サイクル育てた後、2009年暮れから去年の正月にかけて再度造成をして田んぼの面積を拡大している。この作業では、田んぼ間の土手や畔の幅を絞っており、田んぼの正味面積は1,320㎡から1,923㎡に約46%増えて、一応の成功だったと思っている。

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    4号の北側を拡幅している(2010/1)

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    2010年正月改修の計画断面だが、実際には法面の角度はもっと急

しかし問題もあった。去年のイネ刈りのころからイノシシが田んぼに入り始め、田んぼの間を行き来するようになったせいで、畔や土手が痛んでしまっている。場所によっては、土手にケモノ道のような駆け上がった跡が残っている。現在のところすぐに崩壊するというほどではないけれど、今シーズンに入って満水状態となってから大型獣やモグラなどにやられた場合には、被害を受ける可能性もある。
 今のところ、土手の補修については畔の漏水防止作業と合わせて4週末程度の手間を見込んでいるけれど、本当は石垣でも積んで恒久的なものとすることも必要かもしれない。例の本の第2章は「石を積み敷地をつくる」で、そこまで読んだらそんなことが頭に浮かんだ。読むに従い仕事が増えるかな。
 ただ、現在の敷地内ではほとんど石積みの箇所は見当たらない。開拓した人は、農業の傍ら土方仕事もやっていたようだから、あって不思議はないのだが。一部庭木の足元の段差に使っているのは、どこかの余りの石を持ってきたもののようだ。材料としての石の調達が難しいという可能性もある。

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    最初の整備後の田んぼ(2009年の収穫後)

改造管理機のテスト

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 仕事の合間に、かねてから気になっていた管理機(改造済み)のミッションにシール復活剤を入れてみた。前に一度潤滑油は入れたのだが、その時は普通の状態で入れたため、規定量はいっていなかったのではないかと思う。今回は前に倒して入れたから、追加で0.4L程度入った。もちろんケミカルも40CCほど入れた。
 
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 その後、畑の脇で試運転を行った。深さは5~10cm程度でいいはずなので、車輪を出したまま耕耘してみる。スロットルはあまりふかさず、アイドリング+αでやってみたが、まあまあというところである。田んぼでやってみるにはワラを何とかしなければならないが、それは本番の時だ。

今年の苗づくり

 今年は、岩澤信夫さんの「不耕起でよみがえる」を参考書として、できるだけ野生的な苗を育てようと考えている。去年を振り返ると、我々が作った苗は薄播きにした籾がバラついていたことに加えて、その上に被せた燻炭が厚すぎたために虎刈り状態となり、機械植えでは欠株が多発しそうで、よその農家で不要になった苗箱を譲ってもらって田植えをしたりしたが、結果的には水苗代で育てた当農場のイネの方がずっと元気だったことから、その延長で色々やり方を検討するうち、不耕起栽培を柱とするこの農法に行き当たったのだった。
 まだ3年目だから、これまでの2年も無茶なことをやってきたけれど、やってみるなら今のうちという気持ちもある。しかし、この2年で感じたのはイネという植物の元気で融通無碍なことだ。感心するほどである。彼らが自由に育つ環境を作ればうまい米を作ってくれるから、とにかく任せてみることにしよう。もう、はやくも今年のイネとの付き合いが待ち遠しくて仕方がない。そんな不思議な魅力のある植物である。

 それではディテールを確認する。一番目の仕事は塩水選と浸種だ。播種を3月末頃と考えているので、3月に入ったら籾を水に漬けることにする。今年は沢水に浸けることにしよう。ネットに入れて池に放り込んでおけばいいだろう。

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 3月後半に風呂で芽出しをしたあと苗箱に播くのだが、今回は種まき機を使用する、まだ届いていないが。目標は70g/箱・湿状態である。2.5葉期まで横浜で育てたあと会所の田んぼに作った苗代に移す。6~7週間で5.5葉期の田植え用成苗ができあがるはずだ。

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 田植えについては、一昨年は6割手植え4割機械植え、昨年は1割手植え9割機械植えだった。今年はどうなるかは未定だ。1と4号(面積で2/3)は田植えまで湛水状態として田起こし・代掻きをやらないつもりなので、ここに機械植えができない可能性がある。nakakaneさんに手配してもらってポンコツ管理機を貰い、古株の間の田植え場所を帯状に耕運できるようにしてあるので、これがうまく働けばいいが、最悪の場合手植えもやむなしである。2と3号については昨年と同様の機械植えは可能。苗はどちらにも使えるはずだ、うまく育てば。田植えの予定は5月の後半を予定しているが、気候次第である。

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