小学校から中学にかけて、TVではアメリカのホームドラマをよくやっていた。戦後世代の私には特別なアメリカコンプレックスはないのだが、それでも画面の向こうに見える、豊かで、屈託がなく、どこか明るい生活には、やはり一種の憧れがあった。
音楽についても、入口のひとつはそのあたりにあったのだと思う。1960年代のアメリカン・ポップス。とくに、ニューヨークの音楽出版社ビルから次々に生まれてきたような、ピアノが鳴り、女性コーラスが重なり、短い曲の中に小さな物語がきちんと入っている音楽である。
今回作ったアルバムは、その時代の空気を少し借りている。
タイトルは “The Light Still On”。

直訳すれば、「まだ灯っている明かり」ということになる。夜のニューヨーク、古い音楽制作ビル。多くの窓は暗くなっているが、ひとつだけまだ明かりがついている。そこには、若い作曲家がいて、ピアノの前で歌詞を書き直しているかもしれない。あるいは、明日のデモ録音を待つ歌手たちが、廊下で小さくハーモニーを合わせているかもしれない。管理人は掃除をしながら、まだ世に出る前のメロディを、誰よりも早く聴いているかもしれない。
そんな情景から生まれた10曲である。
派手な曲ではない。
大きなドラマがあるわけでもない。
ものすごい歌唱力で圧倒するアルバムでもない。
むしろ、古いアップライトピアノ、歩くようなベース、軽いタンバリン、控えめなドラム、柔らかな女性コーラス。そういう小さな音が、静かに寄り添ってくるタイプのアルバムである。
曲の中には、街角の電話ボックスから恋人の声を聞こうとする女性がいる。朝のブロードウェイを歩く人がいる。待っていた手紙が来なかった朝、それでもコートを着て外へ出ようとする人がいる。自分が書いた曲を、別の誰かがラジオで歌っているのを聴く作曲家がいる。
つまりこれは、単なる恋愛ソング集ではない。
歌が生まれる前の時間。
歌が誰かの手に渡る瞬間。
名前の残らない人たちが、それでも何かを作っていた夜。
そういうものを、10曲の小さな物語として並べてみた。
SUNOで作っていると、どうしても派手なもの、強いもの、今風に整ったものが出やすい。しかし今回欲しかったのは、そういうものではなかった。聴き終わったあとに、少し気持ちが静かになるような音楽である。若い頃に聴いたわけでもないのに、なぜか昔から知っていたような気がする音楽。夜中に一人で聴いても、朝の作業の前に流しても、邪魔にならず、しかしちゃんと心に残る音楽である。
アルバムジャケットも、その感じに合わせた。
夜の街角。
古いビル。
濡れた舗道。
遠くの街灯。
そして、ひとつだけ灯っている窓。
そこに、このアルバムの全部がある。
AI音楽というと、どうしても「どこまで本物に近いか」という聞き方をされがちである。もちろん、それも面白い。しかし、私にとっては少し違う。これは、昔から頭のどこかにあった音楽の風景を、今の道具で掘り起こしている作業である。
誰かの古いレコード棚に入っていそうで、実際にはどこにも存在しなかったアルバム。
それが “The Light Still On” である。
大音量で聴く必要はない。
仕事の合間でも、夜の片づけの時間でもいい。
少し静かにしたい時に、流してもらえれば十分である。
たぶん、どこかの曲で、ああ、こういう感じは悪くないな、と思ってもらえるのではないかと思う。
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音楽についても、入口のひとつはそのあたりにあったのだと思う。1960年代のアメリカン・ポップス。とくに、ニューヨークの音楽出版社ビルから次々に生まれてきたような、ピアノが鳴り、女性コーラスが重なり、短い曲の中に小さな物語がきちんと入っている音楽である。
今回作ったアルバムは、その時代の空気を少し借りている。
タイトルは “The Light Still On”。

直訳すれば、「まだ灯っている明かり」ということになる。夜のニューヨーク、古い音楽制作ビル。多くの窓は暗くなっているが、ひとつだけまだ明かりがついている。そこには、若い作曲家がいて、ピアノの前で歌詞を書き直しているかもしれない。あるいは、明日のデモ録音を待つ歌手たちが、廊下で小さくハーモニーを合わせているかもしれない。管理人は掃除をしながら、まだ世に出る前のメロディを、誰よりも早く聴いているかもしれない。
そんな情景から生まれた10曲である。
派手な曲ではない。
大きなドラマがあるわけでもない。
ものすごい歌唱力で圧倒するアルバムでもない。
むしろ、古いアップライトピアノ、歩くようなベース、軽いタンバリン、控えめなドラム、柔らかな女性コーラス。そういう小さな音が、静かに寄り添ってくるタイプのアルバムである。
曲の中には、街角の電話ボックスから恋人の声を聞こうとする女性がいる。朝のブロードウェイを歩く人がいる。待っていた手紙が来なかった朝、それでもコートを着て外へ出ようとする人がいる。自分が書いた曲を、別の誰かがラジオで歌っているのを聴く作曲家がいる。
つまりこれは、単なる恋愛ソング集ではない。
歌が生まれる前の時間。
歌が誰かの手に渡る瞬間。
名前の残らない人たちが、それでも何かを作っていた夜。
そういうものを、10曲の小さな物語として並べてみた。
SUNOで作っていると、どうしても派手なもの、強いもの、今風に整ったものが出やすい。しかし今回欲しかったのは、そういうものではなかった。聴き終わったあとに、少し気持ちが静かになるような音楽である。若い頃に聴いたわけでもないのに、なぜか昔から知っていたような気がする音楽。夜中に一人で聴いても、朝の作業の前に流しても、邪魔にならず、しかしちゃんと心に残る音楽である。
アルバムジャケットも、その感じに合わせた。
夜の街角。
古いビル。
濡れた舗道。
遠くの街灯。
そして、ひとつだけ灯っている窓。
そこに、このアルバムの全部がある。
AI音楽というと、どうしても「どこまで本物に近いか」という聞き方をされがちである。もちろん、それも面白い。しかし、私にとっては少し違う。これは、昔から頭のどこかにあった音楽の風景を、今の道具で掘り起こしている作業である。
誰かの古いレコード棚に入っていそうで、実際にはどこにも存在しなかったアルバム。
それが “The Light Still On” である。
大音量で聴く必要はない。
仕事の合間でも、夜の片づけの時間でもいい。
少し静かにしたい時に、流してもらえれば十分である。
たぶん、どこかの曲で、ああ、こういう感じは悪くないな、と思ってもらえるのではないかと思う。
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